13.『七星論入門』と『人体惑星試論奥義書』 の推薦文・読後感想文・検証報告等

森ノ宮医療学園はりきゅうミュージアム研究員 長野 仁

昭和大学客員教授 医学博士 中村良子  忠南大学校 教授 張南瑚  関西医療大学 講師 中吉 隆之  

ヒロ歯科院長 高澤博幸  医学博士 佐藤有里  まえがき・著者 新城三六

効果を実感しています  新城一穴鍼法の効果


 

≪新刊案内≫

『七星論入門』

編著:張南瑚(チャンナムホ)

監修:新城三六(しんじょうみつろく)

『七星論入門』 B5版 305頁  2013年 浪速社 7,000円(税別) 

現代鍼灸でも伝統鍼灸でもない第三極の鍼灸が、政界よろしく大阪の地で完成の域に達した。
既成の枠を超えた鍼灸は、多忙を極める臨床の傍ら大阪医療技術学園専門学校の教員養成学科で教鞭を執る、新城三六師によって編み出された。

新城師との邂逅は今から十数年前に遡るが、筆者が探求してきた弱刺激〜非刺入の経絡治療とは対極にある、全長50〜100cm×直径0.8mmの巨針(こしん)療法の手錬(てだれ)であった。
大阪医療の奈良上眞(ほづま)先生の仲介で新城師の鍼を受ける羽目?になった筆者は、恐る恐るベッドにうつ伏せになった。
ブツッ!という切皮音が耳を掠めたが、不思議なことに全く痛みがない。
もちろん直刺ではなく横刺(透刺)だが、長大な鍼はまるで生き物のようにスルスルと背中の皮下に滑り込み、数秒の間に仙骨部へと達した。
直ちにもう一本。
左右の背兪を貫くように置針すること五分、その受鍼感覚たるや、着ぐるみのチャックを下ろし、体内に溜まったゴミを一気に掃除し、再びチャックを上げてもらった、とでも喩えようか。

爾来、太い=痛い、長い=辛い、という先入観を払拭した筆者は、「散鍼から巨針まで」施術の幅が大いに広がった。特定の師匠を持たない筆者にとって、新城師は間違いなく指導者(メンター)の御一人となったのである。

とかく、日本というお国柄は異端児に厳しく排他的である。新城師もその例に漏れず、国内よりも海外での評価が高い。そして今般、臨床のエッセンスを集約した『七星論入門』が、日韓の共同作業で上梓の運びとなった。編著者の張南瑚師も、東北大学大学院に留学経験を持つ文学博士で、韓国国立の忠南(チュンナム)大学の日語日文学科教授を任ずる傍ら、圓山デジタル大学の漢方健康学科で鍼灸のライセンスを取得して臨床にも従事する異端児である。

日韓両雄の二人三脚によって編まれた本書は、「客観的診断と再現性ある論理的治療」を副題とするように、前者は「東洋虹彩分析学」、後者は「七星論」によって実現可能となる。入門書らしく、本書の構成はステップアップ方式で、
@マジックのような一穴鍼法と査穴
A即効的な治療ができる査穴
B一穴鍼法と七星配置
C経絡経筋テスト
D脈診と脊椎診
E治療
F七星論の臨床例
参考 近代文学の巨匠夏目漱石と病気ー新城先生ならこう治療するだろう

の七段階からなり、初心者が試合放棄することなく、好奇心を増幅させつつ、次第に深遠部へと誘われるよう工夫されている。
医史学を専攻する筆者が注目したいのは、参考に附された「近代文学の巨匠夏目漱石と病気―新城三六ならこう治療するだろう―」である。
これは、歴史上の人物の病歴を現代の見地から同定する病跡学の域を超えた、臨床病跡学とでもいうべき新分野の芽生えであり、張師の学識と新城師の手腕が見事に結実した一章である。
戦国大名や海外の偉人などの病状を分析した、学生から熟練まで楽しめる副読本の続刊を期待せずにはいられない。

嗚呼、間中喜雄博士がご存命なら、新位相(ネオ・トポロジ)臨床学(カル・セラピー)と称すべき本書を絶賛したであろう。
何はともあれ、臨床に不安や疑問を感じている方々には、七行論的な天人相関説(太陽+六惑星と椎骨・関節・経絡・経穴の照応)が導き出す治療効果を体験していただきたい。

(森ノ宮医療学園はりきゅうミュージアム研究員 長野 仁)



 

 

『人体惑星試論奥義書』

 

診断・治療実践法の玉手箱

 

2010年8月 立秋を過ぎて

日本臨床病理学会認定臨床検査医
昭和大学藤が丘病院客員教授
量子医学なかむらクリニック 院長
医学博士 中村良子

 「命なり わずかの笠の下涼み 芭蕉」

今年の夏は老齢の我が身には、殊のほかの酷暑であった。しかし、いつも青春只中の新城三六先生は、暑さをも吹き飛ばし楽しんでしまう活力と知恵の塊である。

先生の名著「診断革命-東洋虹彩分析 虹彩診断による治療と予防」が出版された時、「目は口ほどに物を言う」とサインをくださったが、著書を読んで「目からうろこ」の方が多かったのではなかろうか。近年巷では革命という言葉の大安売りで、なんとか革命なるタイトルの書物が氾濫している。革命はめったに起こらない。しかし先生の診断革命は正に現代の診断革命であると折紙つきである。その名著出版以来、多くの方々待望の新書がようやく出版の運びとなった。「人体惑星試論奥義書−診断と治療に困らない即効療法新城理論−」である。先生の治療師として歩まれた30余年間の実証経験の結晶である。

先生は難病をも治してしまう実力の鍼灸治療師。しかも診断即治療、即効治療を地で行う東洋医学の大家。実体験に基づいた数々の即効例の話は感動的である。先生は日本に巨針を導入した巨針の第一人者であり、巨針療法のバイブル「究極の特殊鍼」の他多くの著作があり、専門外の方が読んでも笑いあり涙ありで読み始めたら思わず一気読みしてしまう魅力がある。

また東洋医学実践塾の塾長として長年後輩の指導にあたられている。ペンネーム「ばーば佐智子」なる奥様の佐智子夫人の易学講座ともども「目からうろこ」の講議と実践である。塾生は鍼灸師に限らず歯科医師・医師・その他広く治療界の老若男女を問わない。従って有難いことに私もその末席にて恩恵にあずかっているという次第である。

東洋医学を長年に亘り広く研讃を重ねて来られた先生は、その実力だけではなく全人的な魂の持主である。同業の師に、男が惚れる男、男の中の男と言わしめた先生は大胆な発想で鍼灸の新理論を打ち出された。

我々の体は小宇宙と言われるが、本著「人体惑星試論奥義書」は大宇宙のなかの小宇宙ヒトの即効治療に関する大書である。正に今世紀の「診断・治療革命」とタイトルされても良い実践の手引きでもあり哲学書でもある。「実用的弁証法を目標とし、再現性のある治療法を組み立てた」と述べられているように、先生の驚異的な臨床実績から実証を積み重ねて編み出された「七星論」に基づくスケールの大きな書である。内容は易と科学の解説から始まり、人体惑星試論、陰陽の特性、経絡筋力テスト、東洋医学の生理・病理・病因・診断・治則と経穴、究極の特殊鍼の詳細(巨針の作製法まで解説)多くの症例報告など臨床家、治療師にとっては比類のない圧巻である。正に診断・治療の玉手箱、珠玉の知識と実践法の宝箱であり、鍼灸師のみならず歯科医やホームドクター必読の書である。

西洋医学ではEBM(Evidence Based Medicine)とエビデンスを重視するが、西洋医学で治せない疾病を東洋医学が治した実績は、洋の東西を問わず今や認めざるを得ない状況となっている。ドイツでは鍼治療のエビデンスがあることを証明し、変形性膝関節症や腰痛に対し2007年から保健適応となった。また日本では現在20を超える大学病院で鍼灸外来を行っている。政府もようやく2010年になって厚労省に統合医療プロジェクトをつくり、用語の標準化、疾病の分類の標準化を行い、効果の評価法を確立しようとしている。

先生は内外で御活躍であるが、こうした世の中の動きを超えて、権威とは無関係である。ただただ患者のために即効治療を実践されている。「短い期間での治療は患者の精神的・時間的・経済的負担を少なくすることであり、治療師の使命」いつも「どうすれば早く治せるか」を考えながら臨床してきたとのことである。即効治療に飽くなき努力を惜しまない情熱の人、いつも青春の只中にあって易学研究者の佐智子夫人と二人三脚で鍼灸学・虹彩学・強膜学・医科歯科領域での診断と治療理論と養生法の集大成を成し遂げられた。

「青春とは人生のある期間ではなく心の持ちかたを言う。
青春とは臆病さを退ける勇気
安きにつく気持ちを振り捨てる冒険心を意味する。
ときには20歳の青年よりも60歳の人に青春がある。
年を重ねただけでは人は老いない。理想を失うとき初めて老いる。」

サムウェル・ウェルマン 

先生は来年還暦と伺った。益々壮健にして実践塾長の任を末永く終生果たしていただきたい。この前代未聞の書「人体惑星試論奥義書−診断と治療に困らない即効療法新城理論−」を臨床家としてばかりでなく、ヒトとして世の治療師に一読をお薦めする。

 


すべてが驚異的
(読後感想と私の臨床結果)

2010年8月 忠南大学研究室にて
韓国忠南大学校 教授
世界鍼灸学会連合会 鍼灸医師 張南瑚

ご原稿をいただき、感動しながら拝読いたしました。それは私にとって目からうろこが落ちるような経験でした。すべてが驚異的だったのです。原稿の説明にそって治療してみてびっくりしました。深く感謝いたします。

先生の原稿にあるように「天は必要な時に必要なものを与える」ということを私は実感しております。

新城三六先生の『人体惑星試論奥義書』の原稿を半分ほど読んだ頃、知り合いが二十八歳のきれいなお嬢さんを連れて私のところを訪ねてきた。三年前の交通事故が原因で、病院での治療後も腰が痛くて長時間立っていられないということだった。診察してみると骨盤に歪みがある。従来の私の治療法であるならば、手技療法によって矯正してから鍼治療に移るところだが、今回は新城先生の本に書かれている通りにやってみることにした。すると、治療を始めて一分もしないうちに嘘のように治ってしまったのだ。患者の喜びの歓声を聞いても、私は信じられなかった。狐につままれたような経験とは、全くこういうことをいうのではないだろうか。

『人体惑星試論奥義書』はその名のごとく、大宇宙である天地自然の宇宙変化原理、その中でも特に太陽系惑星の配列に小宇宙である人体を対比する仮説から始まったと言える。
新城先生は中国の巨針を基に独自の巨針療法に開発し、『究極の特殊針』を編み出された。巨針の治療から生じた疑問を天の運行と人体の生理学との関係から解き明かし、数多くの臨床と実験を通して『七星鍼法』を確立されたのである。

『七星鍼法』には、東洋の鍼灸学を始め、西洋の医学、診断革命といわれる虹彩学、治療原理などが整理され、論理的に著述されている。新城先生は、150年の歴史をもつ西洋の虹彩学を東洋医学理論とマクロビオティック理論で再構築し、『東洋虹彩分析―診断革命』をまとめるという大きな功績も成し遂げられている。新城先生の虹彩マップはバーナード・ジェンセンのそれとは異なり、脳と脾が同じ角度に配置されているが、それは何千人もの臨床の結果に基づいているということは言うまでもない。虹彩の研究をしてきた私は、新城先生の虹彩分析に魅了され、先生のゼミに参加するようになり、今後も先生の深く広い鍼灸世界について学んでいくことを目標にしている。本書で先生が虹彩学を七星論に取り入れて配置しているところは、特に注目すべき点であると思う。

『七星鍼法』ではツボ中のツボ「査穴」が重要な位置を占め、その七星論による経絡治療は五行論による経絡治療とは大きく異なり、即効力の高い治療効果がある。試論は古典の検証から始まり、臨床によって究明されている。

私はこれまで多鍼を使用してきたが、新城一穴鍼法に出会って目からうろこが落ちる思いがした。一穴で治療ができれば、術者にとっても被術者にとっても最高なのだ。即効療法新城理論によって行われる診断から治療までの流れは、術者なら誰もが望んできたものであろう。巨針、北斗鍼、三温鍼、凛導鍼など全ての分野における明快な説明と図表は、経絡についての基本知識がある人なら誰でも理解できる内容である。

本書は深い鍼灸哲学と理論とで構成された科学的な部分もあるが、臨床日記と家庭療法などは面白い読み物として楽しめる。読みはじめると手を離すことができない書き方は秀逸である。臨床の場面を書いた文章は、まるで楽しい随筆を読むような気持ちになった。

「根拠を追求した治療法」であるこの本を熟読し、技法を習得できれば、一流の鍼灸治療師になることは疑問の余地がない。「治療とは病気を治すのが目的である」と先生が強調するごとく、治療師は患者に精神的・物質的に負担をかけず早く治さねばならず、また患者が納得できる根拠を提示できる治療にならなければならないと思う。
この本が現代の鍼灸治療における名著となるのはもちろんのこと、鍼灸治療を施す術者と施される被術者にとってグッドニュースになることは疑いない。いち早く韓国でも出版され、多くの治療師に深い影響を与えることを望んでいる。

 



新たなる治療体系との遭遇

2010年9月             
関西医療大学 保健医療学部
鍼灸学科  講師 中吉 隆之

  

 

2005年のいつの頃だったのか・・・。たまたま、新城三六著「診断革命」を大学の図書館で見かけました。目玉が印象的なシュールな装丁の本を開くと虹彩の写真が何枚も並んでいます。何と臓腑と虹彩に対応関係があるというのです。さらにこの本は、鍼灸治療に加えて食養生法について多く記述されており鍼灸関連の書籍としては異質な作りとなっていました。これまで、このような診断方法の存在やこのような方法によって診断を行い、実際に治療が行われていることを知らなかった私は「すごく面白いことをやっている治療家がいるんだ!」と興味を持ち、早速、本を購入することにしました。しかし、本を読んだだけでは、虹彩の撮影方法も診かたもよく分からないし、結局のところ臨床応用できそうもありません。ネットで調べると講習会がある事を知り、早速講習会に参加しました。

その講習会では、虹彩診断とともに、本やテレビでしか見たことの無い巨大な鍼(巨針)による治療法や従来の東洋医学における五行論ではなく、太陽、水星、金星、地球、火星、木星、土星という七つの星を人体に当てはめて診断と治療をおこなう「人体惑星試論」(七星論)についての講演と実演が行われていました。腹部の七星、脊椎と七星の関係、経絡経筋テストによる治療効果の検証など、新たな治療体系との遭遇でした。

それから何年経ったでしょうか・・・。
この度、「人体惑星試論奥義書」が出版されることになりました。これは新城三六先生がこれまで学ばれた「東洋医学理論」、「マクロビオティック理論」、「虹彩学」、自身の臨床経験を通して生み出した「経筋腱収縮牽引理論」、中国で学んだ巨針療法やその他の様々な治療理論や治療法をベースに、その過程で生み出した「人体惑星論」を自身の臨床を通して検証しながら一つの治療体系としてまとめあげたものです。

当然のことながら、このように一つの治療システムを作り上げることは困難な作業です。特に、東洋医学の治療体系のように、すでに理論がほぼ完成しているものについて、別の理論をわざわざ構築することは並大抵ではありません。新たな理論を実際の臨床で用いる場合には、その理論に基づいた診断から治療の内容には一貫性が必要であり、また、理屈だけ立派では意味が無く、治療効果も再現性もなければ意味がありません。さらに言えば、過去の治療経験の集積である古典の内容との整合性も必要とされます。本書を読んでいただければ、これらの課題をクリアしながら治療システムを作り上げていった著者の苦労がうかがわれると思います。

さて、本書は七星論に基づく診断方法と治療方法について書かれていまが、効果的な治療を行うための究極の特殊鍼法である「巨針」について制作方法から施術方法までの巨針療法の全てについても書かれています。そこには中国で学んだ巨針療法を効果的で、さらに扱いやすいように工夫したノウハウが惜しげもなく披露されています。(ホントに出血大サービス)さらに・・・。

ここで、この本の内容を説明してもあまり意味は無さそうです。多くを語らなくても本書を手に取っていただき、読み進んでいただければ、きっとその良さが分かると思います。

この後、「人体惑星試論奥義書」は鍼灸治療家の心強い友としてとして利用され、病に苦しむ多くの人々を手助けするために使われていくに違いありません。

 


境界なきチーム医療へ
   

2010年8月          
東京歯科大学卒業     
歯科医師           
ヒロ歯科 院長 高澤博幸

 

 

 

改善の見込みのない保険医療制度の下で、日本の医療がどこに希望を見い出すかを考えたとき、私は≪境界なきチーム医療≫にあると思っています。

新城先生とも、経験学的な分野と科学的な分野の統合、境界を越えた医療について語り合い、虹彩学も共同で研究してきましたが、いつも見せていただく先生のマジックのような鍼灸技術には目を見張るものがあります。

2007年の4月と6月に≪目と歯の地図帳作り≫と題し、私は歯と顎のレントゲンと歯型を撮り、先生のところのスタッフが虹彩を撮影し、先生が鍼灸治療、佐智子夫人が食事指導というコラボレーションを行いました。

治療は一人5〜10分程度でしたが、15年も歯の痛みが取れずに点々と歯科医院を廻ってきたという方が来られ、鍼聖・新城三六が1本の鍼を足に刺しただけで治してしまったのには、驚きというより参りました。

また「フラフラして真っすぐ歩けない」という患者さんのスクレラを撮影し、「脳血管の炎症ですね」と鍼灸を施したら、「フラフラしなくなった」と喜んでいました。そして再びスクレラを撮影して、Before & Afterの写真で解説していましたが、脳血管の反射区に出ていた怒張のような血管が治まっていました。

そのような技法が本書で紹介されている≪新城一穴鍼法≫です。先生が主催する講習会では、それ以外にもたくさんの技法を紹介されて来ました。私も4年ほど先生の講習会に参加しましたが、≪第一章人体惑星試論への道程≫≪第四章歯と七星(歯の七星分類)≫≪第十章顎関節矯正鍼≫に述べられた理論と技法は、これからの歯科医師には学んでほしいと思っています。

歯科領域の疾患は、表面的には症状のある部分が問題ですが、視点を変えると、上下の歯牙の形と接触関係の変化、歯列(歯並び)の状態、顎(骨)・頭蓋・全身レベルのバランス(咬み合わせ)、過去の外傷(打撲)・歯科治療、食事内容や生活様式、環境の変化、そしてココロの状態など様々な問題の反映として発症、推移しているわけで、実は健康のシグナルとして捉えてもいいと思います。

治療した歯が再び発症したり、新たな問題が治療期間中や治療後に連続して起こったりするという事実は、唯物的な技術中心の対症療法だけでは限界があり、そのような歯科治療を受けても、健康な状態に戻るのは難しい、ということを暗示していると考えられます。私の歯科医院に転院してくる患者さんをみても、以前の歯科医師は実に丁寧な処置をされていて、技術面の問題は少ないと思われることが多いのです。

現代の歯科医療は、歯の形・歯並び・噛み合わせ・歯周組織の形などを大きく変えることができる技術を持ってはおりますが、一般的には、顎の周囲や口の中のさまざまな痛みや不快症状に対応する手段をあまり持っていませんし、知りません。だからといって安易に投薬のみの対応をすれば、二度とその歯科医院には行かないでしょう。 ですから痛みを訴えて来院した方々に、(もし最初に新城先生の治療院に行っていれば、自然に治まる症状でも)歯科医療ということで、もしかすると必要以上に歯を削ったり、歯髄神経を除去したり、今後も残せただろう歯を抜いてしまうことを選択していることが日常的に行われている可能性はあるかもしれません。

私達歯科医師は、患者さんにとってマイナスにならない、その場しのぎにならない歯科医療を目指していますが、歯科領域だけの問題ではない、口の中だけの情報だけでは分からない問題があることを感じています。私達がさらに患者さんと健康的に向き合うために、≪境界なきチーム医療≫という形で、一人の患者さんに対して、医師・歯科医師・鍼灸師など、それぞれの視点からアプローチできる人達が共同で医療を行うことは大きな明るい夢です。又、患者さん側も本来の自分に戻るための最適な道を、気がねなく選べたらどんなに素敵なことでしょう。

この本を通じて、医師・歯科医師・治療家・指導者の方々に医療の近未来像を考えていただき、日本の統合医療の夜明けが来ることを期待しています。

 



読者の「道」を鼓舞する発見

2010年8月              
生命科学研究者          
東北大学医学部博士課程終了
医学博士(PhD)   佐藤有里
 

 

 

 


鍼灸は経絡という「目に見えないエネルギー」を「目に見える治療」に変換できる興味深い医療分野である。経絡に沿って鍼を刺すことが、身体の腱の過緊張による歪みや、骨格矯正まで可能にして、臓器や神経を心身と調和させ、身体のサインとしての痛みや炎症(腫れ)を即効で治められるのである。ミクロな視点から極論すれば、エネルギー経路に刺鍼することで身体に強振動を与えて、疾患部位の臓器或いは細胞を構成する素粒子の自転回転運動を、矯正していることになる。この奥義書を読んで、今後、私的な興味としては、刺鍼前後で免疫細胞であるリンパ球の数や刺激応答性がどのように変化するのか、或いは血中の腫瘍マーカーや疾患特異的発現をする遺伝子の変動を分子生物学的手法を用いて調べてみたい。例えば、右肩痛を、左足の復留という全然別の部位のツボに1本鍼をして治せるのであるから、その変化を細胞レベル・遺伝子レベルで捉えることが出来れば、エネルギー医学の論証をより説得力を以って語ることが出来るのではないかと期待される。

手塚治虫の「火の鳥2-未来編-」でも、宇宙から身体内部の細胞→ 物質→ 分子→ 原子を構成する素粒子に至るまで全て、宇宙生命(コスモゾーン)として生きている・繋がっていると火の鳥が主人公に説明する。人体の経絡を惑星の配置に見立て、エネルギーの虚実の関係性を把握する・・・。

この理論は、真理を突いていて、かつ壮大なスケールであることを感じさせる。

さて、新城三六先生は「人体惑星試論奥義書」を出版された。
本書は、まさに先生の今までの業績を集大成した魅力的な傑作である。

序論において、「易と科学は根本的には同じ結果となる。」と書かれている。およそ、西洋科学にドップリ浸かって病態疾患のメカニズム解明の研究に明け暮れている研究者には考えすら浮かばない発想である。確かに、易や東洋医学はEBMを基に体系立てられた学問分野ではあるが、解釈によっては真逆の意味にもなり得る。しかし、新城先生は果敢にも、この難題に長い年月をかけて挑戦してきたのだ。臨床主体の新しい理論が必要と感じて、鍼灸古典理論に留まらず、五行説や陰陽説の中国哲学まで紐解いて、丁寧に洗い直し、理論の概要を構築された。

そして、解釈と仮説を立て、臨床現場にて、新しい理論を検証していき、遂に出来上がったのが「七星論―人体惑星試論」である。
この科学的アプローチは、診断・治療の精緻さを確証する優れた土台となっている。

また、先生の繰り出す技の数の、何と豊富なことか!先生は、全人的に瞬時に患者さんの症状を判断・診断して、最適な治療を実践する。四診に始まり、「個は全体を反映する」といわんばかりに、虹彩・スクレラ分析や脊椎診・顔面・足裏・歯・唇からの経絡分析や、経筋腱収縮牽引の原理を常に考え併せることで、より的確な病状の看立てを可能にしている。

そして、巨針療法や生物力学療法、骨格矯正鍼・北斗鍼・婦科鍼など、研鑽された技術をもって即効治療を実践する。七星論―人体惑星試論は、これら数々の原理や治療法を一つの観点から統合し、理論的に考えやすくした功績である。武術の達人は、「万を以って一にあたるのではなく、一を以って万にあたる」といわれている。シンプルで無駄がない理論は、理解しやすい。だからこそ、学ぶ個々人が、自らの体験や経験により、その体系の解釈や枝葉を拡げていく必要がある。この本は、読む人、個々人の「道」を鼓舞する発見が、随所に散りばめられていると言ってよい。

最後に、この本を手にした鍼灸師の卵や患者さん、又は人体惑星試論の奥深さに惹かれた多くの方々が、新城先生の理論や思想に触れることで、明るい未来を創造する挑戦心を掻き立てられることを願ってやまない。

 


まえがき≪診断と治療に困らないために≫

著者

           

 

鍼灸学は中国哲学(易)、自然科学、社会科学の応用だが、日本での体系は、中国の古典として現存する『黄帝内経』、『傷寒雑病論』、『神農本草経』を基本に、西暦紀元前後に成立されて流布され、近年の鍼灸臨床では『霊枢』と、扁鵲(秦越人)が『素問』の一部をつまみ取って著述したとされる『難経』が主流のようである。(※丸山敏秋著『鍼灸古典入門』によると、【難経の著者は皆目不明】とのことである)

古典は、「易」で仮説を立て、臨床結果を整理したのに違いないが、『内経』にはいくつかの矛盾がある。何冊かの医学書の集積編纂であるので無理もないですが、鍼灸を学び始めた頃から疑問に思うことがあった。それは督脈の流注である。

1989年に中国から始めて日本に巨針を持ち込んでから、その疑問を解決しなければならないことが起った。巨針は大椎から長強までを透刺するので、督脈が胞中に起り、尾骨から脊椎に沿って上行しているなら強烈な寫法になり、理論的には使えない技術になるが、現実では寫法にならない。「“督脈”は総監督の意味があり、陽経の源でもあるので、必ずやどこかで入れ違えたに違いない」と思い、解決方法を模索するために書籍を調べたり、いろいろな仮説を立てたりして20年の歳月が流れた。

陰陽五行論は、『素問』異法方宜論篇の方位と食習慣や治療法に見られるように、中国大陸での風土から生じた範疇にあり、自然にある五材を五つの性質に分類して、五つの相互作用や相互変化として特性が組み立てられている。

『素問』天元紀大論篇に、【七曜は天の道筋に沿って絶えず周旋する。】という一節があり、七曜とは「太陽、月、及び金、木、水、火、土の五星」が巡り進むことで、これの変化によって陰陽の変化が現れ、剛柔、明暗、寒暑の生成変化が起ると云い、あたかも天の運行が人体の生理を左右していることが窺える。

『国立科学博物館・宇宙の質問箱・太陽経の誕生篇』によると、【古代から知られた五惑星も五行説に都合がよく、要素が割り当てられました。中国名で辰星ともよばれる水星は太陽のまわりをめまぐるしく動くので水の要素の星。太白ともよぶ金星は明るく白く光るので金の要素。螢惑ともよぶ火星は赤い色の火の要素。木星と土星は、よりくすんだ黄色の方が土の要素の土星。残った木の要素を木星に割り当てました。木星はまた中国名では歳星、土星は鎮星ともよびます。】と、惑星の名称は惑星の性質に五行の特性を割り当てたと記されている。

小峰有美子著『宿曜経』東洋書院には、【洋の東西を問わず、文明のはじまりは暦と占星術から起ったと言っていい。堯帝が出て、さらに数千年後、周の武王、文王も陰陽の思想を発展させ、春秋時代をへて戦国時代には、五惑星を発見して五行説と結びつけ、十干、十二支という考え方も出て陰陽道も体系化され、原理として確立したのは前漢といわれる】と述べられ、星座の命名にも五行が応用されたとなると、一つの仮説を組み立てることができる。

『素問』生気通天論篇での天人相応を引用し、太陽系惑星の配列に合わせて人体構造を当てはめたのが本書の仮説である。則ち、人体を「太陽と陰界(陰界は仮に黄泉とする)・水星・金星・地球・火星・木星・土星」に対応させ、そのまま経絡や人体構造や生理に当てはめてみる。所謂、四方に天地を加えて六合(宇宙)と呼ぶが如く、人体を二次元的に観るのではなく三次元的に観るための理論である。

この理論を組み立てるために、最初に仮説を立て、我々の体で実験し、自信を得てから臨床に応用し、講演や講習をしながら整理していった。それを≪人体惑星試論≫通称≪七星論≫と呼び、七星論で組み立てた鍼灸を≪七星鍼法≫と呼ぶことにした。

人体惑星試論の仮説を基に、古典文献と照らし合わせながら、鍼灸学、虹彩学、強膜学、及び歯科領域での診断と治療理論をまとめたが、根拠を示して空論でないことを示す目的と、誰でも検証できるように≪臨床や筋力テストの方法≫も記載した。

また、本書では理論や臨床論の中で養生法について述べてある。その理由は中国や日本の最古の医学書にも、養生法が治療の一環として記されている事から推測して頂けると思う。私の場合、「何のための鍼灸治療か」という命題に対して、いつも「どうすれば早く治せるか」ということを考えながら臨床してきた。短い期間での治療は患者さんの精神的、時間的、経済的負担を少なくすることであり、それが治療師の使命でもあると考えているからである。だから≪即効療法新城理論≫と呼ぶのである。

本書は伝統的な鍼灸術が理論的な根拠としている古典文献を反証するところがあるが、それは古典の矛盾を解き、実用的な弁証法を目標とし、再現性のある治療法を組み立てたいからであり、「理論は臨床より生まれる」と思うからである。

鍼灸や漢方の経典となった古典書籍を、心血注いで翻訳してくださった先生方は、古典を文学だけとしてではなく、迷路のような医学技術用語の解明など、ほんとに苦労されたと思います。その先生方に文中失礼のないように十分気をつけたつもりですが、内容の一部に失礼な表現があるかも知れません。しかし、古典の矛盾を解決したいがためと≪客観的診断と再現性のある治療を求める≫が故にですので、何卒ご了承くださるようお願い申し上げます。

 

 

以下はメールで届いた感想文です

 

 

ほんとに効果があると実感してます。

 

新城先生お疲れ様です。
勉強会にてお世話になっております浜田です。

佐智子先生に教えて頂いたやり方でインデックスつけながら本読ませて頂いております。

早速で申し訳ありませんがものもらいのお灸について一点伺いたいのです。
肌の表裏の間にすえるお灸は親指の橈側か尺側か、 どちら側に灸点をとれば宜しいでしょうか。
本に書いてあるようにすればほんとに効果がある、と実感してます。

知り合いの男性鍼灸師で冷え症の人がいるので(以前頭の鍼をして喜んでくれた人です)
早速三温鍼をして差し上げました。

最初、指先を消毒した時は痛い鍼を想像したらしく緊張されていましたが、本に書いて下さっていたように鍼管を使わず呼吸を意識して切皮したところほとんど痛みもなく、また旋捻してると「足の裏がぽかぽかしてきた」「なにこれすげー」「鍼であったかくなるんや」と、今回も大変喜んでいただけました。

鍼灸師だけにお灸ではなく鍼で温感を感じる事にしきりに感心してらっしゃいました。

まだきちんと七星論が理解出来ていないため、診断ができず、とにかく査穴での対処ばかりとなっていますが、ある中国人の女の子が酔っ払って自転車でこけてしまい、一ヶ月近くたつけどあちこち痛いと辛そうでしたので、査穴にマグレイン貼ってみたところ「錆びてた体に油を注したように動きやすい」と、これまたずいぶん喜んでいただけました。

本当にありがとうございます。

もっときちんと治療できるように少しずつでも勉強させていただきたいと思います。


―――返信を送ったらまた以下のようなメールが届きました―――

ちなみに火曜日に例の酔っ払いさんにマグレイン貼ったら昨夜遅くに来たメールです。

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夜分遅くなりまして申し訳ございません。

浜田さん、肩の痛みと重たい感が軽くなった、本当にありがとうございましたー。
浜田さんは、やさしい〜なぁー、ありがとうございました
おやすみなさい。

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臓腑からの病だけでなく、外傷によるものでも速効性があるのですね。
それだけ査穴が要なのだと実感いたしました。
○○先生に取穴すると、そこ違うよと言われてしまうのでもっと精進します。

ものもらいの取穴わかりました、誰か知り合いがものもらいになるのを不謹慎ながら楽しみにします(笑

 

 


新城一穴鍼法の効果

新城先生

お世話になっております。浜屋です。

先日は、ブログに私共のことをご紹介頂きありがとうございます。
私も妻も喜んでいます。

さて、
「人体惑星試論奥義書」を読み、早速七星論を用いた施術をしましたところ、驚く効果がありました。

男性の患者様で、
4日前にギックリ腰になり、整形外科で注射をうってもらい楽になったが、右下肢外側の張りと前屈がまだ痛く、だんだん右の首までいたくなってきたという方が来院されました。

脊椎診では、胸椎上部が右曲がり、腰椎で左曲がり脈診では、腎と肺の虚が診られました。

そこで、七星論の法則で「左腎木穴」に1本針を打ちました。
その後に、座ってもらい脊椎を確認したら驚くことに、脊椎が矯正されていました。
患者様本人も、「全然痛くないです。」「うそみたいです。」とビックリされていました。

私自身も、驚きで何度も「痛かった姿勢をしてみてください」と患者様に何度も動いて
もらいました。

首の痛みまでスッカリとれていました。

「凄いでしょ。これが、お師匠さんの作った七星論です。」と、自慢げに言ってしまいました。
(勝手に、お師匠さんと言って申し訳ありません。私が勝手に「師匠」と思っているので・・)

これが、七星論!凄い!の一言でした。

また、違う患者様のギックリ腰では、「生物力学療法」を試した結果、これまた施した直後に8〜9割改善しました。

もう、驚きの連発です。

ホントに、新城先生に出会えたことに感謝しています。

まだまだ、これから七星論の奥義を極めることが出来るように、精進してまいります。

ありがとうございました。


PS: 炭酸温泉 も家族でつかっていますが、髪のボリュームというかツヤというか。サラサラヘアーって感じです。(男がいうと、少し気持ち悪いですね)これも凄いです。
毎日のお風呂を子供と楽しんでいます。

浜屋 俊